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産業医コラム コミュニケーションの実践④

 物事を人にきちんと伝えるには、5W1Hに基づいて具体的に伝えることが大切です。しかし、物事に取りかかる前に、伝えた情報に漏れはなく、相手にとって要点がわかりやすい内容かを今一度確認するとともに、伝えたことに対応できるのか、支障はないか、不明な点はないかなど、部下自身の考えや気持ちを率直に話してもらい、不安があればそれを取り除くことも良好なコミュニケーションでは大切です。

 

悪い例

部長:〇〇さん、今朝、到着した新商品の陳列をお願いします。昼までにね。

部下:はい、わかりました。(昼までに!今日は月曜日で忙しいのに。えーっと、同じ商品グループの隣に同じように並べればいいのかな…)

(数時間後)

部長:違うよ!新商品なんだからもっと目立つように最前列に持ってきて、アピールするように並べ方も工夫しなきゃダメだよ。予定が遅れてしまうから急いで!

部下:はい、すみません。(最初からそう言ってくれよ、まったく…)

 

 お互いに考えや気持ちを伝えないことによっておこるトラブルは多いものです。部長には「それくらいはわかるだろう」という思い込みがあり、部下は「忙しすぎる」という不満や「陳列方法が十分にわからない」という不安を抱えたまま、仕事を処理しようとしています。これでは、双方の行き違いが生じても不思議ではありません。特に部下の行動の背景には、「こんなことを言ったら部長を怒らせてしまうのではないか」や、「こんなことを尋ねたら、能力がないと思われるに違いない」という思い込みがあります。しかし、そのような思い込みで自分の行動を縛り付けるより、思い切って率直に伝え、気持ちを楽にして仕事をすることが大切です。

 

 

いい例

部長:〇〇さん、今朝、到着した新商品の陳列をお願いします。新商品が目立つように工夫してください。昼までにね。

部下:はい、わかりました。では、同じ商品グループの最前列に配置して、動きのある並べ方を工夫したほうがいいですね。

部長:そうだね。思い切りやってみて。任せるよ。ほかに何かわからないこととか支障はある?

部下:部長、そこまでの作業は大急ぎでやっても昼までには無理がありそうです。今日は月曜日で通常より業務も多いので、2時まで待ってください。それと、11時ごろには一度チェックしてください。

部長:わかった。よろしく。

 

 最初の打ち合わせが肝心ですね。自分の思い込みから遠慮したり我慢したりせず、きちんと伝え、確認しましょう。そうすることで、部下自身が物事を考えるという機会につながる場合があります。特に上司は、部下が尋ねやすい雰囲気づくりを、日ごろから意識することが大切です。

 不安を取り除く率直なコミュニケーションは、特に忙しい時ほど重要です。無駄や無理を省き、お互いに気持ちよく仕事を進めることができます。

 

 

銀座スピンクリニック 

精神科 産業医

 

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