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精神科 心療内科 過敏性腸症候群の診断と治療について

 過敏性腸症候群 (IBS) は特に心理的緊張 (試験や通勤電車内など) によって下痢・腹痛などの症状増悪を起こすことで知られる心療内科領域の疾患の一つとされてきました。

 

 IBSは医学的には排便の性状変化と排便に疼痛を伴うことを特徴とする「機能性胃腸障害」の一つで国際的な診断基準Rome Ⅳでは以下のように定義されます。

 

 

 繰り返す腹痛が最近3カ月の中で、平均して1週間につき少なくとも1日以上、下記の2項目以上の特徴を示す。

1)排便に関連する。

2)排便頻度の変化に関連する。

3)便形状(外観)の変化に関連する。

※少なくとも診断の6カ月以上前に症状が出現し、最近3カ月間は基準を満たす必要がある。(中島淳,鳥居明,福土審:Medicina53(9)1308-1315,2016)

 

 

 IBSの病態は脳腸相関の異常・消化管運動の異常・知覚過敏とされてこれまで研究が進んできましたが、上記のRomeⅣ基準をみていただくと、その病態に重要であるはずの「心理的緊張」や「ストレス」の記載が全くないのに気付かれるかと思います。

 つまり現時点では症状のきっかけとなるはずの「心理的緊張」や「ストレス」のあるなしにかかわらず、IBSが診断されているのです。

 

 過敏性腸症候群は20~40歳代を中心に発症し、日本ではおよそ10%~15%程度の人がかかっているとも言われ、悩んでいる人が多い病気です。

 過敏性腸症候群はストレスとの関連が深く、「こころ」と「からだ」の問題の両面がかかわる心身症の1つと考えられています。

 

 どちらか片方だけのアプローチでは改善が難しく、ストレスや不安への心理的アプローチと消化器症状への内科的アプローチ、食事指導をはじめとした生活習慣の改善などを総合的に行い、心身の調子と生活習慣のバランスを整えていくことが大切です。

 

 

 当院精神科、心療内科外来の初診患者様においても、過敏性腸症候群様の消化器症状が主訴で受診され、抑うつ状態(うつ病、適応障害、ADHDなど)と過敏性腸症候群が合併しているケースを多く見かけ、日々心身両面からのフォローを心がけております。

 

 

 

銀座スピンクリニック 

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